鳥取大学 地(知)の拠点大学による地方創生推進室

 地域就業論 講義録⑱(弓ヶ浜水産株式会社)

講義科目

講義概要

鳥取大学では県内産業界への理解促進と職業観・就業意識の醸成を狙いとして「地域就業論」を開講しています。
本講座では地元産業界からリレー形式で講師を招き、各業界の現状やこれからの方向性(ビジョン)のほか、その業界で
働くためにはどのような能力や姿勢が必要か等についてお話いただきます。

1/19(木)は弓ヶ浜水産株式会社 代表取締役社長 鶴岡 比呂志氏にお越しいただきました。

同社は以前、宮城県でギンザケ養殖事業を行っていましたが、東日本大震災での被災をきっかけに、鳥取県へ進出しギンザケ養殖の復興に取り組んでおられます。自動給餌システムなど最新の技術を活用し、美保湾の荒波で育てたギンザケ「境港サーモン」は、引締まった肉質や味の良さで高い評価を受けています。

会社名

弓ヶ浜水産株式会社

学生へのメッセージ

弓ヶ浜水産株式会社 代表取締役社長 鶴岡 比呂志氏

◎宮城県から鳥取県へ~ギンザケ養殖の復興を目指して~

「弊社は第一次産業である水産業を生業としている。会社を設立した当初はギンザケを宮城県で養殖していたが、震災の影響もあり、鳥取県へ場所を移すことになった。養殖で魚を育てるだけでなく、加工・販売まで自社で行っている。水産拠点として、淡水・海水の養殖場を増やしてきており、サーモンに関しては国内で15%のシェアを誇っている。(単一の養殖業者としてはトップ)

 

養殖事業ではサーモン(海面/新潟では佐渡サーモン・鳥取では境港サーモン、淡水/大山湧水サーモン)やマサバを、加工事業では、自社養殖魚や輸入冷凍魚(鮭・カニ)を取り扱っている。自社の養殖・加工機能を生かして、特色ある商品の生産を目指している。境港は小さいながらも凝縮されていて、水産の機能がすべて備わっていることから、事業を行うには日本でも有数の好立地と言える。

 

サーモンの需要は年間40~50万tであるが、国内における自給率は30%程度で残りは輸入で賄っている。日本での生産量は減少傾向にあり、現状は15万t程度。そのうちの養殖シェアは10%であるなど、まだまだ事業のマーケットは大きいと考えている。」

 

◎養殖事業におけるIoTの活用と、超高鮮度の加工処理

 「弊社ではIoTを活用することが重要だと考え、自動摂餌による省力化・安全性の向上を図っている。美保湾は冬場の波が激しく、船がつけられないほどの高波であり、それに対応するべく、自動給餌システムの開発を5年間続けてきた。世の中にはタイマー制御のものはあるが、潮や水温の状況で魚が餌を食べないことがあり、その場合、無駄が出てしまうほか、海を汚すことにもなってしまう。“センサーで魚の食欲を測り、食欲がある時に餌を与える”という機能を持った機械の開発に成功した結果、魚の食欲を電気信号に変えて、最適な餌の量を決定し自動的に給餌することが可能になった。これまで自動摂餌機の実用化は無かったため、特許を取得し、発明表彰の受賞に繋がった。

 

境港での水揚げの処理方法は活き〆。生簀から生きたままフィッシュポンプでダイレクトに魚を水揚げした後に活き〆し、短時間・超高鮮度での加工処理を行う。鮮度こそ美味しさであり、生産が間に合わないくらいの売れ行きとなっている。

 

日本海沿岸は水温差が大きく、海水温が高い時期はサーモンの養殖ができず空白期間ができてしまう。そこで、サバ・ブリなど他魚種の養殖に挑戦した。夏場のブリは安値だが、3ヶ月間餌を与えると冬場には太ったブリになり高値になる。サバは養殖によりアニサキス(寄生虫)のリスクが低減したことから、刺身でも食べられるようになった点と、自動摂餌による早期の出荷・コストの安定というメリットが打ち出せた。また、加工処理を行う工場についても、衛生面を確保し、 最高位の安全管理規格を取得している。」

 

 

◎世界で戦える水産業~チャレンジを続けていく大切さ~

「養殖において、日本は研究分野では色々と進んでいるが、産業レベルで比較すると世界との差が結構ある。日本の海や魚に合わせた養殖の種類は様々であり、今後、IoTなどを活用して競争力を高めていきたい。日本は暖かいところから冷たいところがあるなど、水温差が激しく、幅広い種類の魚が育つ。その特徴を利用することで稼働率を上げて、コストの低減が見込める。養殖の技術開発・やり方を変えることが現状なかなかできていないため、こうした部分を推し進めて、輸入品と競争できるサーモンを作っていきたい。

 

宮城から鳥取へ入ってきたが、改めて場所・やり方を変えてみると得られたものが大きかったと感じる。失敗も多いが、その中から成功が出てくるものである。学生の皆さんにもやりたいことはたくさんあって、社会に出たら、また色々な経験があると思うが、どれも成長に繋がっていく。今の気持ちを忘れずにいて欲しい。私自身もチャレンジは続けており、餌を切らさないようなプラントを新たに建設していこうとしている。一次産業も、しっかりと世界と戦える仕事になると考えている。」

 

写真左より、ファミリーイナダ株式会社 那須社長室室長代理、稲田代表取締役社長、弓ヶ浜水産株式会社 鶴岡代表取締役社長 

 

 

■弓ヶ浜水産株式会社

住所      〒684-0046 鳥取県境港市竹内団地205

代表者   代表取締役社長 鶴岡 比呂志

従業員数 93名(うち本学卒業生0名)

業種    銀鮭養殖、その他魚類養殖、水産物加工

会社HP  http://www.yumisui.jp/


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